こんにちは✿
今日は、「トラウマを克服する方法」について書いていこうと思います。
トラウマを克服する方法は色々ありますが、その中には「ヨガ」という治療法があります。
今回は「ヨガ」にテーマを絞ってこの記事を書きました。
このテーマだと、

「ヨガとトラウマに何の関係があるの?」

「何でヨガがトラウマケアに効くの?」
など色々な疑問を持つかと思いますが、そこもできるだけ深掘りして解説していきます。
この記事のほとんどは以下の本から引用させていただいています。
トラウマについて長く研究している方の本なので、大変参考になった本です。トラウマについて詳しく解説してあったり、トラウマからの回復方法もたくさん書かれています。
興味を持った方はぜひ!
トラウマとは?

トラウマとは、心に深い傷を残す出来事や経験を指します。
人生において、予測不可能で強烈な出来事が、時には心の奥深くに刻み込まれ、それがトラウマを生む原因となります。通常の日常生活で経験するストレスや困難な状況とは異なり、トラウマは異常なほどの精神的な衝撃を伴います。
トラウマは様々な形で現れ、
- 事故
- 虐待
- 災害
- 戦争
などの極端な状況が挙げられます。
同じ出来事でも人それぞれ異なる影響を受けることがあり、子供時代の虐待や家庭内の問題、そして心の中で解決しきれない葛藤なども、トラウマの源となり得ます。
これらの出来事がトラウマとして残ると、その影響力は大きく、しばしばそれに苦しめられることになります。トラウマの影響は直ちに表れないこともあり、時には数年経ってから現れることがあります。そのため、トラウマに気づきにくく、放置されがちな傾向があります。
トラウマが心に残る主な要因は、出来事が予測不可能であり、かつ個人にとって脅威的であると感じられることです。この心の傷は、適切なサポートや処置なしには、長期間にわたって影響を与え続ける可能性があります。
トラウマのより詳しいことは、こちらの記事に書いてあります。
ヨガとは?

ヨガとは、古代インドの健康法であり、心と体を調和させるための訓練法です。
その起源は古く、紀元前5世紀に遡りますが、今日では世界中で広く実践され、その効果は多くの人々に認められています。
ヨガは、
ポーズ(アーサナ)・呼吸法(プラーナヤーマ)・瞑想(ダーナ)
の3つの要素で成り立っています。
これらの要素は、心身のバランスを取り戻し、内なる平静と調和をもたらすことを目的としています。
ポーズ(アーサナ)は、身体の柔軟性、筋力、バランスを向上させるための動作です。ヨガのポーズには、様々な難易度や目的があり、例えば、ウォーリアポーズやツリーポーズなどは、身体の力強さや安定感を養います。一方で、子宮のポーズや猫のポーズなどは、ストレスや緊張を解消し、心身をリラックスさせる効果があります。
呼吸法(プラーナヤーマ)は、呼吸をコントロールすることで心を静め、ストレスを軽減するための技術です。深い呼吸や腹式呼吸などの呼吸法は、自律神経を整え、リラックス効果をもたらします。これにより、日常生活でのストレスへの対処が改善され、心の安定を取り戻すことができます。
瞑想(ダーナ)は、心を集中させ、内なる静けさと洞察を得るための実践です。瞑想は、心の乱れを静め、自己認識を高めるのに役立ちます。瞑想の効果は科学的にも証明されており、ストレスや不安の軽減、集中力の向上、心の安定などが報告されています。
ヨガは単なる身体のエクササイズではなく、心・体・精神を一体化させる総合的な健康法で、単に柔軟性や筋力の向上にとどまらず、心の安定や精神の平穏をもたらし、心身共にリフレッシュできる効果が期待できます。
気楽に始めたい方は、自宅でマットを敷いて始めるのも良いかと思います。
なぜヨガはトラウマに良いのか?

上記でヨガについて解説しましたが、

「ヨガが心と体に良い影響があるのはわかったけど、トラウマとは具体的にどんな関係性があるの?」
という疑問について書いていきます。
ヨガがトラウマに良いとされる理由は、主に3つあります。
- マインドフルネスが育まれる
- 自分の内部の感覚が復活する
- 過去(トラウマ)に安全に向き合うことができる
マインドフルネスが育まれる
1つ目は、「マインドフルネスが育まれる」です。
マインドフルネスとは、過去や未来、経験や先入観にとらわれず、「今この瞬間」の自分の気持ちや状況に集中することを指し、自分の思考・感情・行動をありのまま受け入れて観察する方法のことをいいます。
トラウマを負った人は、過去に縛られ、今を思う存分生きられない状態に陥ります。
しかし、マインドフルネスは現在のこの瞬間に意識を集中し、心を落ち着かせる状態を指し、ヨガの実践によりこのマインドフルネスが養われます。
今の自分の状態を受け入れる能力であるマインドフルネスが養われることによって、過去ではなく「今」に集中できることは、過去に縛られている人(トラウマを負った人)には、かなり有効な方法であるとされています。
自分の内部の感覚が復活する

2つ目は、「自分の内部の感覚が復活する」です。
トラウマを負った人は、自分の内部の感覚が麻痺してしまい、体の基本的な要求にも応えられなくなり、不調があってもそれを察知することが難しくなってしまいます。
その状態が続くと病気がちになったり、「自分は本当はどう感じているのか」、「気分が晴れないのはなぜか」など、自分の気持ちがわからず、自己を見失ってしまう可能性が高いです。
しかし、体の感覚に集中するヨガの実践によって、自分の内部の感覚を復活させることが期待できます。
人は自分の体の欲求を自覚していなければ、体の面倒を見ることはできない。空腹を感じなければ、自分に栄養を与えることはできない。(中略)感覚を自覚する力を養うことが、トラウマからの回復にとって重要なのだ。
『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法 P.450』
自分がどう感じているのか、どうしたいかなどが感じ取れないと、思う存分生きることができず、喜びも楽しさも感じることができません。
自分の感覚がトラウマによって奪われるのに対し、ヨガはその感覚を取り戻す練習法とも言えます。
過去(トラウマ)に安全に向き合うことができる

3つ目は、「過去(トラウマ)に安全に向き合うことができる」です。
トラウマを乗り越えるためには、トラウマと向き合う必要があります。
しかし、本人によってはそれはとても酷であり、闇雲にトラウマと向き合ってもパニックを起こし、それがさらなるトラウマになったりするなど悪循環が生じてしまいます。
そのため、
「トラウマは過去のもの」
「過去は過去。今は安全」
という気持ちがトラウマと向き合うために必要であるとされています。
その気持ちを養うために、「今の自分」に意識を向けるヨガは、とても効果的です。
もし、トラウマを思い出し、それにより一瞬苦しい思いをしたとしても、それは過去のものであり「今」に意識を向け直すと、トラウマに支配されるのを防ぐことができます。
こうした意識を基礎としたヨガの実践によって、「トラウマと向き合っても大丈夫」という新しい視野が生まれることが期待できます。
科学的にも証明されているヨガの効果

ヨガは、脳科学的にも自己調整に重要な脳領域に良い影響があることも明らかになっています。
引用している本書の中でも、
「幼少期にトラウマ体験をした女性6人が、20週間ヨガを実践する」
という研究がありました。
実践後、その女性たちの脳を調べると、
「基本的な自己調整を司る脳の「島(とう)」と「内側前頭前皮質」の活動が増した
という結果が出ました。
さらに、脳の変化があったことを伏せ、ヨガはどのような効果があったかを尋ねたところ、

以前よりも感情をよく識別できるようになり、気持ちが表現できるようになりました。

人生に様々な選択肢が見えるようになりました。過去の人生を繰り返したり、子どものままであるような人生を経験したりしなくてもいいと思えます。
など、ポジティブな気持ちへの変化も確認されています。
ヨガを実践する際の注意点

ここまでで、ヨガがトラウマに効果的なことを解説しましたが、ヨガを実践する際に注意してほしいことがあります。
それは、
ヨガの実践中にトリガーになりうることが起きる場合がある
ということです。
体に意識を集中すると、やはりトラウマの記憶が蘇ったり、慣れないヨガの実践で、挫折感や抵抗感なども最初はあるかと思います。そして、ヨガの実践中にトリガーになりうることが起きたら、とても苦しむことになります。
もし、ヨガの実践中にトラウマのトリガーになりうることが起きたとしても、
その不快感にあえて意識を向けて、「呼吸を10回する」など回数を決めると、苦しさが一時的なものであると気づき、苦しさに対処する能力を高める
ことが大切になってきます。
苦しさも不快感も一時的なものだとわかると、トラウマ体験もそれは単なる過去のことで、トラウマをあくまで「情報」として受け取れるようになり、そうなると、パニックになることなくトラウマと向き合えることになります。
しかし、一番は無理をしないことです。
トラウマは深刻な問題で、一朝一夕にはいかなく、ゆっくりと自分に合ったペースでやるのが重要です。(本書の中でも、ヨガ研究をゆっくりと取り組むことで参加者の脱落者が大幅に減ったとあります)
他の「トラウマを克服する方法」は、こちらの記事に書いてあります。
まとめ:ヨガの実践で自己認識を深め、トラウマに対処しやすくなる
というわけで、「ヨガがトラウマケアに効く」というのに焦点を当てて解説しました。
トラウマは、その人を過去に縛りつけ、自己認識を麻痺させますが、ヨガは「今」と「自分」に意識を集中する手法で、トラウマから回復する効果的な方法です。
トラウマを乗り越えるために大事なのは、「自分の内部の世界を再構築する」ことで、嬉しいときは喜ぶ、悲しいときは悲しむという当たり前の感覚を復活させることで、ヨガの実践は、過去の自分ではなく「今の自分」に意識を向ける良いきっかけとなりえます。
私は、引用している本を詳しく読むまで、なぜヨガがトラウマに良いのか不思議でしたが、ヨガやトラウマの仕組みを理解するとかなり合理的で納得しました。
トラウマ研究が進み、様々な観点から治療法が発見されていることは、「生きづらさ」について考えてしまう私からしたら、大変興味深く、生きづらいが少しでも改善される世の中になればいいなと感じました。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
それでは✿
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